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2007.March | vol.47

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放送のデジタル化により超高画質映像が氾濫する時代へ。
そのとき、家電に何が起きていくのか。

松下電器産業株式会社
技術開発グループ グループマネージャー

楠見 雄規さん

放送のデジタル化は、コンテンツマネージメントを大きく変えるだけでなく、高画質映像がより日常化することによる様々な変化をもたらす。画像容量はますます大きくなり、それを記録するためには巨大な容量をもつハードが必要になる-そうなると、AV家電にどんな変化が起きていくのか。また、以前から叫ばれている《AV家電とインターネットとの融合》は、いまだお茶の間レベルまで浸透していないが、今後どのような展開が待っているのか。BML(Broadcast Markup Language)の策定に深く関わり、デジタルテレビやブルーレイ、DVDレコーダーなどを通じて日本の家電技術開発をリードするキーパーソン、松下電器産業株式会社・楠見雄規さんに、お話をうかがってみました。

-楠見さんはブルーレイ事業にも深く関わっていたと伺っていますが、今後は、やはりブルーレイが記録メディアの主流になっていくのでしょうか。

間違いなく、そうでしょうね。2011年の地上波全放送デジタル化に向けて、いま、ハードもソフトもどんどん切り替わっていますよね。デジタル化がもたらす大きな変化として、〈ハイビジョン映像〉と〈サラウンド音響〉があります。体験すれば一目瞭然ですが、これはもういままでのテレビ映像から比べて圧倒的なクオリティですので、いちど触れてしまうともう後戻りはできないでしょう。とりわけ日本のデジタル放送は、海外のそれに比べて広帯域ですから、よりハイクオリティなコンテンツを提供できます。そうなると、必然的にそういうコンテンツを「録って残したい」という消費者の欲求が生まれてきます。しかも、映画や芸術映像等、「残したい」映像ほど大容量であるわけで、現在のHDやDVDの容量ではとても無理。ブルーレイ主流の時代がすぐにやってくることは確実です。ハイビジョン&サラウンド映像の場合、1時間で約10GBと計算すると、通常の映画1本がだいたい2時間ですから20GB必要です。さらに、『アラビアのロレンス』や『ロード・オブ・ザ・リング』のような3時間半から4時間を越える大作になると、1枚50GBの2層ブルーレイの出番になります。

-デジタル化によって、家庭でも映画館並みの高画質&高音質な映像が手軽に見られるようになる。ただ一方で、生活者には1日24時間という限られた時間しかないなか、「録画して見る」頻度は、今よりも増えるのでしょうか?

いい質問ですね。確かに、1コンテンツあたりの容量が大きくなったとしても、「録画して見る」という行為がそんなに増えないのであれば、ブルーレイというメディアの存在意義はその分小さくなってしまうかもしれません。そこで、カギを握るのが、例えば御社が提供している『Gガイド』や『Gガイドモバイル』のようなツールの役割だと考えています。お世辞をいうつもりはないのですが、『Gガイドモバイル』の〈リモート録画予約機能〉は非常に便利ですよね。ちょっとした待ち時間とか、電車の中で、テレビ番組表を見て「あ、これ録っておきたい」と思ったらその場で録画予約できるわけで。録りたい番組を逃さないうえに、忙しい生活者にとって時間を有効に使えってもらえるという点でも、録画機にとって大変有意義なツールです。何を隠そう、私も『Gガイドモバイル』のヘビーユーザなのですが(笑)。

-ありがとうございます。私たちにとって常に課題として考えているのが、よりカンタンでより便利なツールを開発する一方で、それを使ってもらうためにはどうすればいいか、ということです。その点について楠見さんはどのように考えていらっしゃいますか?

私たちの課題も同様ですね。この問題は、〈コンテンツ〉と表裏一体であると考えています。どんなにカンタンで便利なハードが出来ても、それによって享受できるコンテンツが魅力的でなければ使ってもらえません。逆に、多少使うのに面倒で複雑なハードであってもそれによって享受できるコンテンツが魅力的であれば、使ってもらえたりします。「にわとりが先か、卵が先か」ということになりますが、私たちメーカとしては、デジタル化によって非常に魅力的なコンテンツが創出されたときに、それを楽しめるハード環境を「常に先行して」作りつづけることが使命だと思っています。平たく言えば、いつも一歩先のコンテンツを見すえていなくてはいけないわけで、だからこそ、プラズマテレビやブルーレイに注力しているのです。

-インターネットとテレビおよびテレビ周辺機器の関係は、今後どのような展開になるのでしょうか。

日本は、韓国と並んで、世界有数の高速インターネット大国になりつつあります。したがって、「インターネットコンテンツのハイビジョン化」という時代が近いうちに確実にやってくるでしょう。そうなると、まず起きる欲求が「十数インチのPC画面ではなく、高画質大画面モニタでそれを見たい」という欲求だと思います。その欲求に応えるために、プラズマ大画面のテレビとインターネットが繋がっていることが前提になります。そして、「それを保存したい」という次の欲求に応えるために、大容量録画メディアとインターネットとが繋がっていなくてはいけません。

-《リビング家電と通信の連携》ですね。

そうです。何年も前から言われていたことですが、現状、なかなか進んでいません。それは、コンテンツ側の問題が大きいと思います。インターネットコンテンツのハイビジョン化が起きたとき、生活者は否応なく「それを大画面テレビで見たい」「記録メディアに残したい」と思うわけで、そうなれば、必然的にハード環境も変化していくでしょう。ましてや、インターネットは、コンテンツスペースが〈有限〉であるテレビ放送と違って、スペースが〈無限〉ですから、そこでハイビジョン化が起きたときには、その受け皿としての大容量記録メディアは不可欠になります。

-本日は、お忙しいところありがとうございました。

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