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Gプレスインタビュー

2011.January | vol.91

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だから、ラジオは不滅です。

株式会社J-WAVE
代表取締役社長

小笠原 徹 さん

オガサワラ トオル
昭和24年11月17日生まれ。新潟県出身。
昭和47年 早稲田大学 第一政治経済学部政治学科卒業後、株式会社ニッポン放送 入社。
営業局長、取締役編成局長を経て、平成13年6月 常務取締役に就任。
平成17年9月 株式会社J-WAVEに常勤顧問として入社、翌年6月 専務取締役。
平成20年6月 代表取締役社長 就任。現在に至る。

地上波テレビ放送のデジタル化、電子書籍の普及をはじめ、今年は、「マスメディア・コンテンツのデジタル化」が急加速する年。
そんな中、"ラジオ放送波"は相変わらずアナログのまま。
一見、時代にとり残されたかに見えるが、一方で、webサイト、ブログ、Twitterによるインタラクティブ・コミュニケーションに、どのマスメディアよりも先行して取り組み、番組とリスナーとの間に新しい関係を築いてきたのはラジオ。また「radiko」のように、コンテンツをいち早くネットに送り出したのも、ラジオ。
デジタル化の時代の中で、ラジオはどうなるのか。そして、どうなるべきか。
株式会社J-WAVE代表取締役社長 小笠原徹さんにお話をきいてみました。

―今のラジオにとって、最大の課題とは何でしょうか。

若い人たち、特に中高生の、ラジオ放送に接触する機会を増やすことです。
「青春時代に接触しないメディアに、成人してから接触するのは難しい」という説があります。40代以上の方々に、今またラジオをよく聴いていただけるようになっています。彼ら彼女らは、青春時代にラジオを聴いて育った人たち。そういう人たちは、必ずラジオに戻ってきてくれます。ですから、青春時代の若者たちが今ラジオを聴いていないということが、ラジオの一番の危機なんです。
私が中高生の時、自分の部屋に、テレビはありませんでした。もちろん、PCとか携帯電話とか、ゲーム機とか、そういうものが世の中に登場するとは想像もつかなかった頃のこと。部屋にあったのは、ラジオでした。ラジオでモノを知り、ラジオのパーソナリティが兄貴であり、先生でした。
しかし、今の時代、若者の部屋にラジオ受信機は珍しいのでは。ラジカセで音楽を聴いていた頃は、まだかろうじて「ラジオ」という選択肢が部屋にありましたが、やがてTVやPCやゲーム機に取って替わられた。そのときに一番、危機感を覚えましたね。

―しかし、そうした危機に対して、ラジオ業界は今、他のマスメディアよりも機敏に手を打ち、新しいIT端末へ向けてコンテンツを送り出しつつあります。その最たるものが「radiko」。
それと、J-WAVEのwebサイトはその成功事例の代表だと思います。SNS、Twitter、Ustream、YouTubeを取り込んで放送を組み立てていますね。

J-WAVEが、ラジオが、機敏に対応できた、その一番の理由は、「音声のみ」という極めてシンプルなコンテンツ属性にあると思います。
"アイズ・フリー"だから、動きやすいわけです。その時代の新しいメディアに変幻自在に入り込んでいける。これが、ラジオの最大の強み。その強みを活かして、ラジオはこれまで何度もの危機を乗り超えてきました。
最大の危機は、カラーテレビの登場でした。当時、誰もがラジオという箱は無用の長物になるだろうと言いました。しかし、折りしも高度経済成長とともに「モータリゼーション」が起き、「車の中でラジオを聴く」という新しい聴取文化が生まれ、ラジオはそれまで以上に活況を呈しました。
そして、若者が多くの時間をPCと携帯電話に割くようになった今、他のマスメディアがそれらとの融合、連携に苦労する中、「音声のみ」という身軽なラジオは、「radiko」という新鮮なカタチで、迅速且つスムーズにオンラインメディアに入っていく事ができました。さらに、スマートフォンやタブレット端末の中にアプリという形で入り込む事で「ラジオファン」を急増させつつあります。
今、ラジオにまたしても追い風が吹いてきた。そんな風を肌で感じます。

―音声だけというシンプルさ。そこにラジオの本質的な価値があるわけですね。

その通りです。「音声だけ」だからこそ、リスナーの知的イマジネーションをシゲキし、ふくらませる。
また、肉声による温もりのあるコミュニケーションによってナビゲーターとリスナーの間に1対1の強いエンゲージメントが築かれていく-これが、ラジオの真骨頂です。
テレビの場合も、パーソナルな環境でも接触しますし、映像という豊かな表現ツールを駆使しますが、ラジオのような強いエンゲージメントを築くことは難しいと思います。視聴者は、1対多の関係を前提としてテレビを見ます。
ここが、ラジオとテレビの本質的な違いで、ラジオが「本音のメディア」と言われるゆえんだと思います。
言い換えれば、エンゲージメントの醸成こそが「ラジオに固有の価値」なんですね。先ほど、『昔、ラジオが先生だった』と申し上げましたよね。ナビゲーターとリスナーが1対1の強い絆で結ばれるラジオだからこそ、電波にのって発せられるひと言ひと言が、リスナーひとりひとりの心に強く浸透するのだと思います。
今後、端末がどう変化していこうと、その魅力(チカラ)は永遠に変わらないものだし、変えてはいけないものだと思います。これからもJ-WAVEは進化するマルチIT時代の生活者に元気と勇気を提供する「絆メディア」であり続けたいと、今、改めて身を引き締めているところです。

―本日はお忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。

気になるテレビ語 groovy word on TV 『ドラえもん』


大晦日のテレビ番組と言えば…『NHK紅白歌合戦』や『笑ってはいけないシリーズ』などと並び、『大晦日だよ!ドラえもん』を思い浮かべませんか?今回のテレビ語は、その『ドラえもん』です。
十数年にわたり、大晦日の定番アニメ番組として放映されていましたが、去年は、人気ジャーナリストの池上彰(12月の検索数は1,658)さんの番組『そうだったのか!池上彰の学べるニュース 大晦日スペシャル』が放映されました。
しかし、そこは国民的アニメキャラクター!放映されなかったにも関わらず、検索数が1,699(11月)から7,267(12月)とアップしています。当日の検索数は658(28位)を叩き出しており、大晦日の定番番組であることを証明したのではないでしょうか。
その代わり(?)として、今年の1月3日に『ドラえもん 新春スペシャル』が放映されました。放映時間はなんと!朝6時から…なぜこの時間帯だったのでしょうか…今年の9月には『藤子・F・不二雄ミュージアム』がオープン予定。中国ではディズニーなどのキャラクターを抑えて、一番人気のあるキャラクターにも選ばれました。春には新作映画の公開も控えており、人気は衰えることを知りません。
100年後の未来に、ドラえもんのようなロボットは現れているのでしょうか。是非、池上さんに教えてもらいたいですね。


『Gガイドモバイル』ユーザ検索ログデータより 集計期間:2010/12/1-12/31

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