• シェイク!Vol.10 ヤヴァイ企画の話(1)<br>平岡大典(NHK)×草彅洋平(東京ピストル代表取締役社長)×吉田尚記(株式会社ニッポン放送)

シェイク!Vol.10 ヤヴァイ企画の話(1)
平岡大典(NHK)×草彅洋平(東京ピストル代表取締役社長)×吉田尚記(株式会社ニッポン放送)

異なる業種で活躍する3人がそれぞれの視点で語り合い、新たな価値観を生み出すヒントを見つけるトークセッション「シェイク!」。
第10回は、NHKから広報局・戦略開発担当チーフプロデューサーの平岡大典さん。東京ピストルの草彅洋平さん。そしてニッポン放送のアナウンサーで「よっぴー」の愛称で知られる吉田尚記さんの3名が登場。トークテーマ通り、ヤヴァイ話が様々飛び出した。その模様を全5回シリーズでお届けする。

正攻法でやっても通じる時代じゃない

一同 よろしくお願いしまーす。

吉田

まず、ここにいる方がどんな方なのか知りたいですね。マスコミ系の方いらっしゃいます?

(客席 大半の手が挙がる)

平岡

やっぱりメディア系が多いんですね。メーカーの方はいますか?

(客席 数人手が挙がる)

平岡

メーカーの方もいらっしゃる。今日のテーマは「ヤヴァイ企画の話」というね。

草彅

ヤヴァイ企画は、たぶん、この3人の得意なジャンルですよね。

吉田

ぼく、ふつうにやれって言われたほうがとまどいますね(笑)。

草彅

わかります。ぼくも横から殴りに行く企画が得意なんで。

吉田

今日は、そういう企画がどうやって生まれたのか、という話をするのがいいのかな。3人の自己紹介から始めましょうか。草彅さんから。

草彅

東京ピストルという編集を中心としたクリエイティブの会社を11年前からやっている草彅洋平です。以前は雑誌や会社案内おの仕事が多かったのですが、最近ではネットメディアの編集ディレクションをやらせていただいています。他にも、ぼくは「場の編集」と呼んでいますが、場所のプロデュースも多く手がけています。ハードは持っているけど使い方がわからないというときに、ぼくが呼ばれてイベントやお店を運営するという。たとえば、東京R不動産とタッグを組んで、下北沢の高架下のスペースでイベントをする「下北沢ケージ」や、日本近代文学館のなかにある「BUNDAN」というブックカフェですね。ここに置いてある本、ぼくの私物なんですよ。

平岡

おおー。

吉田

いいなー。

草彅

守備範囲が、文学、漫画、ゲーム、アニメ、映画、音楽とサブカル系全般のインテリです(笑)。

平岡

NHKの平岡と申します。6年前から広報の仕事をしていますが(それ)以前は海外番組の買い付けから放送までを10年以上担当していました。

吉田

そういう方ってずっとテレビ見てるんですか?

平岡

毎日朝から晩まで見てました。VHSの時代なんか、机にうず高く積まれたVHSに囲まれて、周囲が見えないという。

吉田

裏ビデオ屋みたい(笑)。

平岡

そのあと、福岡に単身赴任をして広報の仕事をおおせつかったんです。初めての広報の仕事で、まずは、繁華街のポスターや看板、大型ビジョンを観察しました。1枚のポスターをどうやったら目立たせられるだろうと考えて、ピンクと紫を使えばいいんじゃないかな、と思いついた。

草彅

どういうことですか?

平岡

いちばん使われていない色が紫でした。そこを狙おうと思ったんです。そういうふうに手探りで広報の仕事を始めました。3年前に東京に戻り、引き続き広報の仕事をしています。今年の3月には「NHKキュン活ほっとらいん〜受信からはじまる恋〜」というサイトを公開しました。

草彅

キュン活攻めてますよねー。

平岡

イケメンボイスの声優さんの声がついた、乙女ゲーム風のサイトです。

吉田

おふたりとも、企画を立てることがお仕事なんですよね。ぼく別に企画立てるの仕事じゃないんです。

平岡

アナウンサーですからね。

吉田

ニッポン放送のラジオ局でアナウンサーをしています。なのに、なぜか常々何かをやっています。

草彅

企画屋っぽいとこありますもんね。

吉田

企画屋のつもりはないんですけどねー。ラジオ局が本気で作る‘今までにないラジオ’「Hint(ヒント)」のクラウドファンディングを仕掛けたり。マンガ大賞を発案して自分で創ったり。最近では、秘密組織の情報統括官をやっています。

草彅

どういうことなんすか、それは。

吉田

あの、ぼくすごいアニオタ・ドルオタなんです。高校生のころからコミケに並んでました。年間100本くらいアニメイベントの司会をしています。それで、「オタクの生存領域を世界に広げる」をテーマにした番組「ジャパコン Presents エージェント HaZAP」のキャスターをしてほしいとBSフジから声をかけられて。そのときに「頭のおかしいことをやりたいんですが、付き合ってくれますか?」と聞いたら、付き合ってくれて。出演者は秘密組織のメンバーということにしたんです。

草彅

こじらせ方がいいすねー。

吉田

こじらせてること自体が面白いはずだと思って。いちばんはじめに作ったのは決めポーズです。薬指と親指をつけて胸に当てる。「了解しました」は「ラジャー」じゃなくて「コピーザット」。そのほうが海外のオタクにあいつらガチで厨二病だって分かってもらえるから。そんな番組を始めたばかりです。「HaZAP」をやって思ったんですけど、ヤヴァイ企画って、みんな待望していません? 振り切ってふざけたことをやったほうがまわりの人が乗ってくれる。

草彅

そうですね。そもそも、もう正攻法でやっても通じる時代じゃないです。

吉田

正攻法とは?

草彅

ぼくが思う正攻法っていうのは一軸でやること。一軸よりも、複合的に攻めたほうがいいと思うんです。ぼくは文学が好きで、こんなに面白いのになんでみんな読まないんだろうという気持ちがありました。本の面白さを伝えたくて編集者になったんですね。でも、いくらぼくが本を作ってもなかなか届かないんですよ。それで本を届ける方法を考え始めて。

吉田

それでブックカフェを経営したんですか?

草彅

本の中に出てくる食べ物からインスピレーションを得たメニューを出して、食から本を体験してもらうのもありだと思っています。どこの出版社の人もやんないからぼくがやったっていうかんじですかね。

吉田

それを大掛かりにすると、USJのなかにハリーポッターの世界を再現する、みたいなことになりますか?

草彅

そういう意味でもあるのかもしれないんですけど、ぼくもともと出版の人間なんで、出版としてやりようがあるんじゃないか、というところから始まっています。本を作るだけじゃなくて、もっと戦い方があるんじゃないか。テレビ局にもきっと、テレビ局の戦い方がありますよね。番組を作るだけじゃなくて、イベントをやったりとか。そういう一連の戦略です。

次回 NHKが本気を出したへつづく

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