• シェイク!Vol.10 ヤヴァイ企画の話(2)<br>平岡大典(NHK)×草彅洋平(東京ピストル代表取締役社長)×吉田尚記(株式会社ニッポン放送)

シェイク!Vol.10 ヤヴァイ企画の話(2)
平岡大典(NHK)×草彅洋平(東京ピストル代表取締役社長)×吉田尚記(株式会社ニッポン放送)

異なる業種で活躍する3人がそれぞれの視点で語り合い、新たな価値観を生み出すヒントを見つけるトークセッション「シェイク!」。
連載2回目は、NHKが取り組む「ヤヴァイ企画」について、吉田アナ・草彅さんが深掘りしていく様子をお届けする。

NHKが本気を出した

平岡

NHKはみなさまから受信料をいただいて成り立っている特殊な企業です。でも若い人は受信料の制度すら知らない。そもそもNHKどころかテレビを見ない。なのに、これまで、新大学生、新社会人に受信料を認知してもらうためのフレッシャーズキャンペーンをテレビでやっていたんですよ。それじゃ埒があかない、若者に届く方法と言葉で伝えないといけないと。スマホを使う若者がSNSで拡散したくなるようなキャンペーンにしようと、企画を立ち上げました。

吉田

面白いですねー。

平岡

今回はコンペをやりました。企画に関しては「自分だけで考えるな」とよく話しています。うちはテレビ番組を作ることに関してはプロだけど、ネットコンテンツを作るプロではない。スマホとか若者というキーワードが出たとたんへなちょこになってしまう。スマホに適した縦動画を作るノウハウもない。だから人に聞くんです。餅は餅屋。それに、自分のことって自分がいちばん知らなかったりします。自分の顔や声って、自分がいちばん知らないですよね。実は、日本の地上波でいちばんアニメを放送しているのはNHKなんですよね。アニメとNHKを結びつけようという企画を思いつくのは、外の人たちなんですよ。コンペをやって、数十の案から採用したのが「キュン活ほっとらいん」の原型です。いちばんギャップがあったから選びました。ぼくらにとってヤヴァイ企画って単純なんですよ。NHKらしくないことをすればもうそれで話題になるので。

吉田

NHKの存在自体が壮大な前振りなんだ。

草彅

確かにギャップになりますもんね。

平岡

「キュン活ほっとらいん」はツイッターでトレンド入りしました。そのときの反応は「NHKがとうとう本気出した」というものでした。企画前に、大学生を集めて本音を語ってもらったんですね。最近の若い人って対価意識が強い。「私は受信料は払っていません。でも、大河ドラマが好きで毎年見ています。『ドラマのセットの瓦のひとつが私の受信料のひとつでできました』って言ってくれるんだったら払います」と言った子がいました。それでMY NHKというコンセプトを打ち出しました。これまではOUR NHKだったんです。災害のときも強いですよ、子供のころ教育番組見てましたよね、と言っていたのですが、「関係ないもん」と言われてたらもう終わりなんです。だから、あなたの好きなコンテンツを作っているNHKになろう。それが「キュン活ほっとらいん」の戦法です。ちょっと見ていただきましょう

平岡

4人のキャラクターが出てきて、その中から1人選んでコマンド選択で会話をすることができるんです。いわゆる乙女ゲーです。

吉田

なぜか1人、イケメンのバーコード頭がいるという。

草彅

やっぱバーコードの人がいいっすね。

(バーコード頭の樹新涼が選択される)
平岡

この方の声を、諏訪部順一さんという人気声優さんが当てています。ツイッターのフォロワーが80万人以上いる。この諏訪部さん演じるキャラクターと会話をすることで、NHKや受信料のことがよくわかるようになっています。

吉田

樹新さんが一番人気なんですか?

平岡

ふつうのイケメンじゃなかったぶん、心に刺さったんでしょうね。ぼくがやりたかったのは、バーコードでかっこいいキャラクターを作ること。渡辺謙やユル・ブリンナーみたいに、丸坊主でカッコいい人はいるけれど、バーコードではいないですから。新しいキャラクターを生み出したくて。

吉田

エロ可愛いみたいに、バーコードカッコいい。

草彅

確かにいない。

平岡

しかもそのキャラクターに諏訪部順一さんが乗っかって、あんなイケメンボイスで囁いてくれるんですから。ギャップ感がたまらないですよね。

次回 炎上をどう乗り越えていく

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