• シェイク!Vol.10 ヤヴァイ企画の話(5)<br>平岡大典(NHK)×草彅洋平(東京ピストル代表取締役社長)×吉田尚記(株式会社ニッポン放送)

シェイク!Vol.10 ヤヴァイ企画の話(5)
平岡大典(NHK)×草彅洋平(東京ピストル代表取締役社長)×吉田尚記(株式会社ニッポン放送)

異なる業種で活躍する3人がそれぞれの視点で語り合い、新たな価値観を生み出すヒントを見つけるトークセッション「シェイク!」。
連載最終回は、どんな人が実際ヤヴァい企画を思いつくのか、またその企画を実際に形にするにはどうするのか。話は膨らんでいった。

自分の言葉を持っている人のほうが面白い

草彅

ぼく、「カフェをやりたいんですが….」とか学生なんかに相談されたら「やったらいい」って答えてます。その瞬間にやるのが大事なんですよ。1年後にはもうブームは過ぎてるし、本人も冷めちゃってる。

吉田

わかります。

草彅

その瞬間の熱量がすごい大事。

吉田

ゴーサインも自分のなかでなにか演算してますよね。知らないうちに。

草彅

そうそう。あと、その瞬間にできなくても、5年経ってもずっとやりたいなって思ってることはやったほうがいい。それはタイミングを待ってる気がするんですよね。そこの見極めが大事です。感覚で生きてるだけですけど、意外と失敗はしてない。あ、2回ぐらい失敗したけど、まだ元気です。

吉田

失敗もしますよねえ。

草彅

失敗やばいですよ。血まみれになったりしましたからね。

吉田

すいません、それ比喩ですか?

草彅

ぼくは以前あるIT会社に役員として関わって、数億訴訟される一歩手前までいったことがあるんですよ。天才エンジニアのアメリカ人の代表が勝手にコードを組みまくった結果、日本の法律がわからなくて、同意なしで個人情報を取得していたという。

吉田

え?

草彅

勢いあったベンチャーだったため、大事件になってしまってですね、新聞の一面やNHKのニュースでも放送されました。ぼくはクライアントや関係者に謝罪に謝罪を重ね、彼女とも別れるという地獄絵図。あ、なんか暗くなっちゃった?

吉田

いやいや、はっきり言いましょうか、他人の揉め事みんな大好きです。でも、成功と紙一重なかんじがしますね。すごい企画だと思ったら激ヤバ案件だったと。

草彅

ぼくがコードを読めて管理できていたら、事件は起こらなかったかもしれないですが、後の祭りですね。でも、ものすごい可能性があった事業が一瞬で崩壊してしまった。

吉田

金があろうとなかろうと、やりたいことはたくさんありますよね。ぼく、やりたいことが山のようにある。そのなかでできるものをどんどん実行に移しています。

草彅

2006年、会社を作るまえに「100%ムネオナイト」というイベントをプロデュースしました。鈴木宗男さんの本を編集したことをきっかけに、宗男さんにクラブでDJしてもらいました。汚職事件でムネオハウスという言葉が話題になって。

吉田

2ちゃんねらーがハウスミュージックとかけて、ムネオハウスという楽曲をどんどん作っちゃったってやつ。

草彅

そうです。だから本当にDJパーティをやっちゃおうと。これ、2006年のヤフーニュースの上半期PV数1位なんですよ。その3日後、会場だったクラブが無許可営業で逮捕されちゃいました。

吉田

あははははは。

草彅

「ムネオ議員出演クラブを無許可営業で摘発」みたいな報道で、まるで宗男さんが犯罪者のように……。って、すべて僕が勝手にお願いして進めていた企画ですが、スマッシュヒットを出すと、その後怖いことになるというのも思い知らされましたね。

吉田

でもそれって、性分だからたぶん治らないんですけど。

草彅

そうですねえ。

吉田

そういうときに、ふつうのことをちゃんとやってくれる人がそばにいると楽じゃないですか。

草彅

募集してます!!

吉田

どんどん企画を思いついちゃう人以外は本質的には企画屋ではないので、目指さないほうがいいと思うんですよ。でも、企画は自分で思いつかないけど、ドキドキは味わいたい人ってけっこういる。そういう人に言いたい。企画屋は、企画に理解があってきちんとしたことができる人を求めている。そういう人の側に行くっていうのも手です。

草彅

企画ならたくさんあります。

吉田

だいたい、ファンキーな人に声をかけてくるのもファンキーなタイプだったりするんですよ。ファンキー王国にはファンキーな人ばかり集まってくる。でも、ファンキー同士組んでも失敗することも多い。

草彅

ファンキーな人にはファンキーな人が集まりやすいですよね。

吉田

ファンキーな人とちゃんとした人の組み合わせは王道です。自分はどっち側なのか考えるのは大切だと思います。

草彅

正しい意見だと思いますね。やっぱ就職しようかなあ。

平岡

ファンキーな人が存在できる企業とできない企業があると思うんです。うちではなかなか存在できないですね。アナウンサーでいえば有働さんがギリギリファンキーかな、というぐらい。

草彅

両方が存在できるといいんですけどね。

平岡

若い人ってみんなファンキーだと思うんです。みんな白紙の状態で、おれはいくらでもアイデアあるぜって顔をしている。その子達がファンキーの土壌を持ちながら企業人として成長していけるかというと、これは大きな問題で。だから50歳を超えたぼくの仕事は、なにも言わないことだと思っています。なにも言わないで、ファンキーの芽をつぶさないようにする。あの、いま後ろのほうで鼻つまんでる子がいるんですけど。

草彅

いま寝てましたねえ(笑)。

平岡

あの寝てる彼とぼくはチームなんです。彼はファンキー役で、ぼくはファンキーじゃない役で、うちの会社でそうやってバランスを取っています。

草彅

さっきよっぴーさんが言っていた王道のペアだ。

平岡

彼に対してはファンキーな役割をやれと言っています。そうしないと、特に大企業では、バズる企画なんて出てこない。以前、何万人も来るような大きなビジネス系のフォーラムに行ったんですね。午前午後とずっといて、やっぱり面白くない話をするのは大企業でした。はっきり言って、企業って言葉を持ってないんです。草彅さんのように、自分の力で立って自分の言葉を持っている人たちのほうが断然面白い。

草彅

ぜひ、ぼくを呼んでください。

平岡

そうですね。企業の大きな言葉なんかじゃなくて、個々人が言葉を発するようにならないといけないなって、ぼくは大企業に勤めていていつも思っています。

(終わり)

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