• シェイク!Vol.11 マンガやアニメをつくる側の視点(4)<br>諏訪道彦(読売テレビ)×高山晃(ファンワークス代表取締役社長)×小沢高広(うめ) (漫画家)

シェイク!Vol.11 マンガやアニメをつくる側の視点(4)
諏訪道彦(読売テレビ)×高山晃(ファンワークス代表取締役社長)×小沢高広(うめ) (漫画家)

異なる業種で活躍する3人がそれぞれの視点で語り合い、新たな価値観を生み出すヒントを見つけるトークセッション「シェイク!」。
連載4回目は、中国における日本アニメの実情と最近の生活スタイルの話題が多く飛び出した。

中国がいまおもしろいことになっている

高山

中国と仕事をしていて、中国の子と話すことが多いんですけど、コナンを見て日本を勉強したって言ってましたね。

小沢

ずいぶん物騒な国だと思われてるかも(笑)。

高山

すぐに人が殺されるという(笑)。でも、コナンによって日本の楽曲や文化に触れて日本いいなって思った子たちが、いま日本のアニメの仕事をしている。

諏訪

ぼくはデジタルハリウッド大学でアニメプロデュースについて教えています。90人ぐらいの生徒のなかで、半分が中国人なんですよ。ぼくもあまり状況は知らないのですがいま中国ではテレビの地上波では国産アニメしか流さないらしくって。でもその前に数年、コナンが地上波で流れていた時代があるんですって。

高山

みんな見てたって言ってましたよ。

諏訪

で、コナンをテレビで見てたのが何歳から何歳までっていう区切りで、世代の呼び名があるらしいんですね。こっちでいう団塊の世代みたいに。それでコナンを子供のころに見ていた世代がいま、日本でもアニメに興味を持って活躍しているんですよって、学生が教えてくれて。うれしかったですね。

高山

20代半ばから30代前半ぐらいですよね。

諏訪

話を聞くかぎりでは、たぶん30前後と思っていいんじゃないですかね。中国はいろいろ言われながらも、若くて頼もしいスタッフがたくさんいて、いまおもしろいですね。
高山 このあいだ広州のアニメフェスに行ってテンセントのサービスWeChat(ウィチャット)を知りました。LINEのようなメッセンジャーアプリなんですが、決済機能もあります。いま、中国人は現金を持たないでWeChatで決済をぜんぶやっちゃうんですね。最初に行ったレストランで「現金お断り」と言われたのはショックでしたね。その店はクレジットカードも使えなくて、WeChatのみでした。みんながQRコードを読み取って決済をする光景は驚きでした。

小沢

へえ、QRなんですか。

高山

そうなんです。もう名刺交換もしない。WeChatで表示されたQRコードを読み込んだらすぐメッセージが来ます。で、ゲーム、アニメ、漫画は中国語で動漫っていうんですね。広州ではいま、めちゃくちゃ大きい動漫博物館を作っています。日本ではね、かつて国立メディア芸術総合センターが国営漫画喫茶と批判されて、結局取りやめになってしまいましたが(笑)。

小沢

それは日本のコンテンツも入るんですか?

高山

まだ内容は明かされてないんですけど、入るんじゃないかと思います。来年オープンです。あとは、上海にも注目しています。これまで日本のコンテンツをアジアに展開するときの窓口は香港やシンガポールだったんですけど、いま上海がゲートウェイになってきています。来年10月は世界最大規模のライセンシングショーが上海で行われたりするので、いま、来てるなーと思っています。それから、いままで日本でやっている中国のアニメは萌え系やマニア系のものが多いんですけど、広州アニメフェスでみた新作の企画みてると、コロコロコミックや少年ジャンプを彷彿とさせるようなキッズ向けの作品でそういった動向が気になりますね。

観客A

私も中国から来た留学生です。オタクカルチャーが好きで日本語を勉強しました。『ドラえもん』の映画は中国で上映されたとき、ストーリーが少し変わりました。もともとはそうじゃないのに、のび太は古代の中国に行って中国人と仲良くなっていました。コナンについては、中国に発信することについてどうお考えですか?

高山

上海のセミナーで、中国人は日本人をどう思っているかという調査の発表を見たんですね。「日本人はプライドが高い」という回答が上位に来ていました。ドキッとしましたね。アニメにしてもITにしても、日本のほうが進んでるっていうのが日本人の感覚かもしれませんが、行ってみると全く、そんなことはない。テンセントなんて、もうそれこそ、世界でいちばん大きいIT企業のひとつですし。世界を俯瞰的につかんだマーケティングは、中国の企業のほうがうまいと思いました。中国とハリウッドが組んで共同制作で映画を作る流れも来ています。中国と日本がフラットなパートナーシップを作るのは大事ですね。そのときにお互いどれだけぶっちゃけられるか。

小沢

『スティーブズ』中国版やりたいなー。

諏訪

コナンはこの3、4年で、中国の数少ない日本映画を上映してもらえる枠に入れてもらえるようになりました。去年の映画もたぶん入ってると思います。そのとき、ローカライズについてもっと考えたほうがいいのかもしれない。ディズニー映画はね、日本版だと看板が日本語になっていたりする。同じように中国版だったらどうだろうって考えるのは、送り手としてはふつうのことかなって、いまにして思いましたね。我々はやっぱり、どんなおもしろいものを作るかを第一にしていて、作ることには相当集中するんだけど、できちゃったらすぐ次に行ってしまうので。コナンに関してはすでに21本の完成した映画があるわけですから、その1本を中国の方にどう見てもらえるようにしていくか。いまの話を聞いてそう思いました。あとは、まあ、コナンくんはパスポートがないものですから、なかなか海外に行けないんですよね(笑)。

高山

たしかに(笑)。

諏訪

『ルパン三世VS名探偵コナン』では密航して、帰りは峰不二子の潜水艦で帰ってきますから。設定上、そこまでしないといけない(笑)。まあ、中国に関してはぜひ考えていきたいですね。

次回 今後のマネタイズのゆくえ へつづく

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