• シェイク!Vol.14 「今」(3)<br>竹中 功(株式会社モダン・ボーイズCOO)×野村 和生(フジテレビ)×谷口 マサト(LINE)

シェイク!Vol.14 「今」(3)
竹中 功(株式会社モダン・ボーイズCOO)×野村 和生(フジテレビ)×谷口 マサト(LINE)

異なる業種で活躍する3人がそれぞれの視点で語り合い、新たな価値観を生み出すヒントを見つけるトークセッション「シェイク!」。前半はFODにおけるコンテンツの話、後半は若い世代がどんな関心を示しているのか、という話にシフトしていきます。

今、若い子足りてます?

谷口

FODさんが面白いのは、マンガの配信もされてますよね。動画だけじゃなくマンガもって珍しいですよね。

野村

自局のドラマが当たらなくても他局さんのドラマにあやかって『コウノドリ』が売れたりしています(笑)。今まで他局の売り上げにあやかることってなかったんですけど。

竹中

それは面白いなあ。

野村

『アメトーーク!』で「キングダム芸人」をやったときに、『キングダム』の売り上げが跳ね上がってびっくりしました。書店から本がなくなったって電子に走った人が多かった。

谷口

でもあれ、社内で反対されませんでした? 動画の世界でマンガもって「はあ?」ってリアクションされそう。

野村

人によっては「はあ?」ってかんじでしたね(笑)。マンガ配信を一から立ち上げるなら失敗していただろうと思っています。何もない更地にいきなり書店を立てても人は来ない。でも、FODでマンガ配信が立ち上がったときに65万人ぐらい、今は80万人ぐらい会員がいるので。80万人の街に1店だけ書店を置けばそれは人来ますよね。そういうのを狙ってましたね。

谷口

フジテレビは『ラブホの上野さん』とかね、マンガからのドラマ化をかなり狙ってらっしゃいますよね。

野村

うちのFODオリジナルドラマはマンガ原作が多いです。FODでドラマをやってもリーチしないんですよね。認知すらしてもらえないこともある。視聴者に届けるためにはマーケティング費用をかけなくちゃいけない。だからオリジナル脚本で作るよりマンガ原作持ってきて、マンガの力も借りながらやるほうが相乗効果が出て効率がいい。オリジナル脚本は、今放送している野島伸司さん脚本の『パパ活』とか、ほんとわずかですね。

竹中

ぼくも何本か映画の製作をしたことがあります。『ナビィの恋』っていう沖縄の映画とか『無問題』とかね。そのときに、台本がまず大事だと思ったわけです。やっぱりものづくりの基本はホン作りですよ。漫画原作の映画化、ドラマ化ばかりが増えて、日本のクリエイティビティが落ちてるなー思ってるんですけどね。これ、ええんですかね?

谷口

このあいだベテラン俳優の方からたまたま話を聞きました。「期待されてないドラマほど成功する」とおっしゃってましたね。期待されていると色んな人が寄ってきて、キャスティングがもうむちゃくちゃになると。

野村

ありますね。

谷口

期待されないと監督が自由にできるから成功する。そういう逆転現象が起こっているそうです。

野村

ホン作りでいうと、『スクールジャック‼ 』は、1回の生放送のために、6、7回は学校に行って取材しています。事前に面白い生徒を見つけておくことが大事なんですよね。それがあるから演出が効く。行き当たりばったりだと、なかなか面白い生徒は出てこないですよ。

谷口

ドキュメンタリーはネット受けがいいですよね。やはり重視されてるんですか?

野村

ドキュメンタリーは将来的にはやっていきたいのですが、ぜんぜん金にならないんですよ。

竹中

時間もかかるし。

谷口

今もまあ、受けているのは擬似ドキュメンタリーというか。

野村

そうですね。『スクールジャック‼ 』に関して言うと、面白い人を発掘して世に出していくことで、視聴者との化学反応が起きたらすごく面白いだろうな、と思っています。

谷口

昔は視聴者参加のテレビ番組がけっこうあったのに、今は少ないですもんね。

竹中

ぼくたまたま、六本木にあるyoutuberを抱えたりしてる会社にお手伝いに一度行ってね。「演出を教える人はいるんですか?」って聞いたら、いませんって言いはってね。「演出とかしてあげたらええやん」言うても「やりませんよ、場を与えて競争させるんですよ」と。クリエイターになりたい人を誰がどこで今育ててくれるのか、ものすごい大事なことですよ。これはエンタメに限らずですよ。みんな才能、どこに行くねんな。心配でしゃあないわ。今、若い子足りてます?

野村

いやー、若い子で、ADになりたがる人いないんですよね。みんなね、LINEとかサイバーエージェントに行っちゃう(笑)。

竹中

でもそれ、5年10年先の業界の在り方に効いてきますよね。

谷口

テレビ業界はよく知らないんですが、ADって先輩から蹴られてるイメージがあります。

野村

まあでも、それはね、昔ですよ。

谷口

もうないですよね。

竹中

ちゃんと今の時代に合わせてあげて、「才能のある奴俺んとこ来い」って言ったら、フジテレビ変わりますよ。

野村

そうですね。今、採用も絞っていて、若い子はちょっと少ない。しかも既存のものはベテランがずっと番組を作っていますから、若い子に機会がない。そういう意味でFODは若いスタッフに機会を与えるいい場所だと思っています。スタッフだけでなく出演者もそうですね。ドラマの主演の人の年齢がどんどん上がってるんですよね。

谷口

見るほうも上がってますからねえ。

野村

関西テレビさんの「僕たちがやりました」って、出演者が若い子オンリーのドラマで。配信はめちゃくちゃ売れてるのに、視聴率はぜんぜん取れなかったんですよ。やっぱり若い子の主演だけでは取れないんですよね。そうすると視聴率が取れるベテランに出演の機会が行ってしまう。若い子が出る場がないんですよ。最近深夜のドラマが各局で増えています。それは、若い子をしっかり抱え込んでいこうぜっていう各局の思いがあるんだと思います。

谷口

まあ、ネットだと大物を起用してもペイしないので、必然的に新人になっちゃいますけどね。

[ 次回 新しいものを試すのは常にやっています へ続く ]

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