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Gプレスインタビュー

2011.December | vol.102

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2014年のことを考える。

日本テレビ放送網株式会社
編成局メディアデザインセンター長
(兼)メディアマネジメント部長

若井 真介 さん

わかい・しんすけ
1985年、日本テレビ入社、報道局へ配属。
記者、カメラマンを経て1989年から特派員としてパリへ赴任。ベルリンの壁崩壊、湾岸戦争、ユーゴ内戦など歴史的な出来事に立ち会う。帰国後はニュース配信事業や「第2日本テレビ」などインターネット周縁の事業に携わる。12月より現職。

地上波放送のデジタル化完了(東北3件を除く)という一大転換に加え、スマートフォン、タブレットメディア、スマートテレビの普及に拍車がかかった2011年は、放送業界にとって、まさに変革元年。日本にテレビ視聴という生活文化が生まれてから約60年経った今、テレビ視聴のスタイルは、史上最大の変化を迎えようとしている。その変化に対して、放送局はどう対峙しようと考えているのか。今月1日、日本テレビに、放送の近未来ビジョンと事業の構築をミッションとした組織「メディアデザインセンター」が新設された。当センター長 若井真介さんに、お話をうかがいました。

―新組織「メディアデザインセンター」の設立には、どんな背景と意図があるのでしょうか。

ひと言で申しますと、2014年のテレビ視聴がどうなっているのかを考え、そのためのビジョン作りと具体的なアクションを遂行する組織です。この組織を新設した背景には、大きく二つの出来事があります。一つは、スマートテレビやスマートフォン等のオンライン化された新しいテレビの普及です。あくまで推定ですが、2014年には、50%近い普及率になるのではないでしょうか。加えて、HTML5が立ち上がります。こうなると、テレビの視聴体験は今までのものとは一変するでしょう。今風の表現でいえば、テレビが完全にソーシャルメディア化するということです。そして、もう一つの背景は、大容量ハードディスク内蔵テレビの普及です。今すでに「全録時代」に入っています。タイムシフト視聴やCMスキップの問題と正面から向き合っていかなくてはなりません。

―一つ目におっしゃった「テレビのソーシャルメディア化」が起きると、テレビ視聴にどんな大きな変化が生まれるのでしょうか?

ひとつには、よく言われることですが「あいつが見ているから私も見る」といった、連鎖的なテレビ視聴スタイルが生まれるでしょう。これは、テレビ視聴が盛り上がる、今までその番組を見てもらえなかった人たちにも見てもらえる可能性が広がるという意味で、放送業界にとっては、大きなチャンスです。このチャンスをどう最大化していくかを考えることが、私たちのミッションでもあります。象徴的な出来事として、つい先日、12月9日に『天空の城ラピュタ』を「金曜ロードショー」で放送した際にツイッターの1秒間ツイート数の世界新記録が出たというニュースが話題になりました。当番組を放映した私たちが関与していないところで、こういう盛り上がりが世の中で自発的に起きていく時代です。それをどうポジティブに活かしていくかを、私たちは考えています。そのとき、オンライン化された番組情報であるEPG(電子番組表)は、重要な役割を担います。その意味でも、IPG社とも連携しながら進めていきたいと考えています。

―つまり、テレビ番組というコンテンツが、「放送局から視聴者に届いて終了」という時代ではなく、「届いてからの派生現象まで含めてが、テレビ視聴になる」ということですね。

そういうことです。たとえば、深夜の時間帯は、今までは「若い人たちが見る時間帯」というだけの捉え方だったのが、「ネットとの相性がいい時間帯」という捉え方もできます。そうなると編成や番組制作も変わってくるでしょう。また、テレビのソーシャルメディア化は、スポンサーに対して、放送コンテンツの新たな価値を提供するチャンスでもあると思っています。「AISAS」モデルでいえば、今までのテレビコマーシャルの役割は「A(attention)」と「I(interesting)」止まりで、「search」「action」「share」は他メディアに役割を委ねておりましたが、テレビがソーシャルメディア化すると、「AISAS」を一気通貫できるメディアに進化するわけです。

―テレビ視聴スタイルが大きく変わるとなると、視聴率という指標も変えていかなければならないのではないでしょうか?

まさに、現行の視聴率に代わる新しい指標を模索、構築することは、この新組織の大きなミッションの一つです。視聴率何%だから…ということだけでは、スポンサーにメディア価値を認識していただきにくい時代です。私たちは「ソリューション広告」と呼んだりしているのですが、これからは放送局も提案型の営業をさらに進めていかないといけません。既成のメディアに値付けする営業ではなく、クライアントのニーズ、ウォンツに最大限応えるために「メディアをどうオリジナルにデザインして提案していくか」が重要になる。今回の新組織名を「メディアデザインセンター」とした意図も、そこにあります。

―本日はお忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。

気になるテレビ語 groovy word on TV

『家政婦のミタ』


口コミで評判が広がり、徐々に視聴率が上昇。最終話の視聴率は40.0%!連続ドラマでは、近年稀にみる数字を獲得した日本テレビ系列のドラマ『家政婦のミタ』。視聴率40%を超えた連ドラは2000年の『ビューティフルライフ』以来ということで、松嶋菜々子演じるスーパー家政婦の物語が、多くの視聴者をなぜ虜にしたのか?検索数からこのドラマの魅力を検証していきます。まず月間検索数ですが、3,852(10月)、11,819(11月)、12月(最終話放映日の21日まで)が26,116となっており、10月から7倍近く検索数が増え、同クールに放映された連ドラの中でも断トツの増加率です。ドラマ放映日の検索数では、4話目まで1話平均約350ほどでしたが、視聴率が20%を超えた5話目から最終話までは1話平均約1,400までに上がりました。さらに特徴として、番宣やSP番組放映日の検索数が高いことも挙げられます。『「家政婦のミタ」21日(水)の最終回が何倍も楽しめる全10話おさらいSP』放映日は1,820、ゴゴドラ『家政婦のミタ&妖怪人間ベム はやく最終回がミタ~いSP』放映日は、3,335と番宣・SP番組では異例の検索数です。視聴率だけでなく、検索数・検索数の増加率からみても『家政婦のミタ』の人気の高さが伺えます。


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