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2007.October | vol.54

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『放映ログ』が、 テレビをもう一度面白くする。

株式会社ワイヤーアクション
代表取締役

林 和宏 さん

「今見ているドラマの主人公が着ているワンピース、どこで売っているんだろう?」「いまテレビで流れているこの曲、何ていう曲?」…そんな視聴者の欲求に応えることができたら、テレビはもっと面白くなるにちがいない。テレビ視聴をもっと盛り上げるために、すでに放映された情報(『放映ログ情報』)を上手に活用することはできないだろうか。そう考え、インターネットによる新しい視聴者コンテンツサービスを展開している会社がある。株式会社ワイヤーアクション。社員全員テレビが大好きな若者たちの活気に満ちている同社の代表取締役・林和宏さんに、お話をうかがってみました。

―いま業界では「テレビ離れ」ということが問題になっています。テレビの前に座っている時間が以前よりも少なくなった、と。そういう時代に、あえて「テレビ番組」周りの仕事をしようと起業なされた意図は何ですか?

まさに、その「テレビ離れ」を何とかしたいという思いから、今の仕事を進めていく決意をしました。「テレビ離れ」ということが確かに言われていますが、それは単にテレビを見る時間が減ったという一面的な現象のことに過ぎず、「テレビが面白くなくなった」「テレビの影響力がなくなった」わけでは決してないと思っています。テレビ番組、特に日本のテレビ番組は、クオリティが高く、影響力も絶大なものがあります。前々号(vol.52)のこのGプレスでSo- netの会田様もおっしゃっていましたが、インターネットで検索される内容の上位は、ほとんどテレビでとり上げられた話題です。つまり、視聴者は、「インターネットに行ってしまったからテレビを見なくなった」わけではなく、「テレビを見て、そこで“面白い!もっと知りたい!”と思ったことをインターネットで見てみる」という行動様式になっているということです。

―だから、『放映ログ情報』というものに着目したビジネスを始めたわけですね。

そうです。「今流れている曲、何ていう曲?」という問いに答えてあげることができれば、テレビがもっと面白くなる、その結果としてテレビ視聴が促進され、「テレビ離れ」などということは問題にされなくなるのではないでしょうか。また、そういう物理的なメリットだけではありません。番組を通じて視聴者がどんなことに興味を持っているかデータをとることで番組のクオリティアップにも貢献するでしょうし、TVへの視聴態度がより能動的になりますから、番組やCMにとってもそれはよいことのはずです。

―ただ一方で、番組のコンテンツに関わることですので、権利関係には細心の留意が必要でしょう。

おっしゃるとおりです。正直、現在「勝手サービス」的に「放映ログ情報のようなもの」を流しているwebサイトもたくさん存在しており、憂慮すべき事態になっています。そういうサイトがこのまま増えていくと、放送と通信の信頼関係が危機的なことになっていくでしょう。私たちは、あくまで「情報の最終的な制御権は、放送局にある」ことを前提としたビジネスを考えています。だからこうして、『SI情報』*1という放送局から「公式に」配信される番組情報を取り扱っている御社(IPG)に、様々なご意見やアドバイスをいただいているのです。

*1:SI とは、「Service Information」の略で、デジタル放送の番組を視聴するために必要な情報やEIT(Event Information Table)と呼ばれる番組タイトルや放送時間、番組出演者などで構成される。SI は逐次更新されるため、スポーツ中継の延長や緊急特番による放送時間の変更にもリアルタイムに近い形で対応が可能。

―なぜ、そのような「勝手サービス」が増えているのでしょうか。

インターネットビジネスの前提となっている考え方に問題があるのではないかと私は思っています。許認可ビジネスであるテレビ放送と違い、インターネットは「自由」なメディアであるため、ともすると「ユーザさえ集めてしまえば勝ちでしょう」という考え方の事業者が横行してしまいます。でも、それは根本的に間違った認識だと思います。「ユーザ獲得」のために他者の権利は侵害しても構わないという姿勢になってしまったら、インターネットは他メディアとのクロスメディア的な相乗効果は得られず、メディア単位の分断されたサービスをユーザに強いることになり、結果、利便性が提供できないというユーザ不在のメディアとなるのではないでしょうか。私たちは、微力ながらもそれを阻止するようなビジネスを展開していきたいと考えています。それ故に、御社のような考え方、ビジネスモデルを持った企業と良い関係を築いていきたいのです。

―本日は、お忙しいところ興味深い話をいただき、ありがとうございました。こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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