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Gプレスインタビュー

2008.July | vol.63

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また、広告が面白い時代がやってきた。

デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(DAC)
代表取締役社長

矢嶋 弘毅さん

マス広告とインターネット広告は、本質的に何が違うのか―この問いに明解に答えられる人が、広告業界、放送業界、通信業界に何人いるだろうか。いわずもがな、インターネット広告は質的にも量的にも急速に伸びている。テレビ・新聞が圧倒的なコミュニケーションパワーをもち、インターネット広告といえばバナー広告ぐらい…という時代は、すでに過去。放送と通信の連携が進み、マス広告最強といわれるテレビがオンラインメディア化していくことで、さらに拍車がかかることはまちがいないだろう。そんな「メディア激動」の時代、これからの広告人(アドマン)が身につけておかなければならない知識やスキルとは何なのか。12年前の創設以来、インターネット広告に深く取り組んできたDAC(デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社)の矢嶋弘毅 社長に、お話をうかがってみました。聞き手・文/横江史義

―インターネット広告がマス広告を凌ぐ勢いで伸びて いっている現状を、DACのようなメディアエージェン シーはどのように捉えているのでしょうか?

広告メディアというのは、そもそも、環境や時代に応じて価 値が「変動」していくものです。今、インターネットや携帯電話といったメディアが台頭してきた環境の中で、テレビは どんな価値を持つようになったのか、新聞はどうなのか… と考えるべきであって、「インターネットが盛んになって、 マスが衰えた」といった見方は短絡的すぎますよね。一方で、マス広告もインターネット広告も、<効く広告>の原理は 同じだと思います。「リッチ」と「リーチ」。この2つに適合しているかどうか、ということです。「リッチ」は、いわゆるク リエーティブの部分です。少し前までは、「リッチ」の面でマス広告が圧倒的に上でした。しかし、インフラの進化や Flash?テクノロジー等によりインターネットでもリッチなコンテンツを提供できるようになり、インターネット広告 の利用価値がずいぶんあがってきました。一方、「リーチ」は、ターゲティングの精度の問題。この面では、インターネット 広告は最初から際立って高いものを持っています。インターネット広告の真価は、ターゲティングテクノロジーに あるとも言えるわけで、それが、リスティング広告等によってどんどん高度かつ高精度になっていっています。したがっ て、メディアプランニングの組み立て方も、大きく変わりつ つある時代にあるともいえます。

―つまりは、メディアプランニングにあたって、どの メディアが強いのかという議論ではなく、「リッチ」と 「リーチ」を最大化するためにどのメディアをどうクロス させてプランニングしていくべきかという議論が大切 だということですね?

そのとおりです。今の時代、特にカギを握るのは「アドテクノ ロジー」だと思います。特にインターネット広告においては、その広告効果と、アドテクノロジーの変化、進化とは、切り離 せない関係にあります。つまり、今の時代のメディアプランナーは、アドテクノロジーに関する知識が乏しいと、よい メディアプラニングはできないわけです。そしてこのことは、プランナーだけではなく、クリエーターにおいても同じこと がいえます。インターネット広告において、「表現」と「テクノロジー」は不可分なものですから、テクノロジーの知識に 乏しいクリエーターにエッジのきいた表現は生み出せないわけです。カンヌのサイバー広告部門などを見れば、それが よく分かると思います。

―プランナー、クリエーターにとって、大きな転換期を 迎えているということですね?

裏返していえば、広告というビジネスに今までなかった新 しい可能性に満ちたフィールドができたわけで、「また、広告が面白い時代が来た」といえるのではないでしょうか。 個人的な実感として、最近また広告業界に優秀なクリエーターたちが戻ってきたなぁという感覚はありますね。一時、 優秀なクリエーターが広告業界から離れていった時期もあっ たように思います。

―「広告クリエーター=4マスを埋めるコンテンツを作 る職人」という図式が崩れたということですね。

そういう見方もできますね。そもそも、メディアを「マス」と 「非マス」とに分けて考えること自体、「昔」の考え方だと思 います。私たちは今、こんなメディアの分類をしています。
① Publisherがコンテンツを創り運営するメディア
② 企業がコンテンツを創り運営するメディア
③ 個人がコンテンツを創り運営するメディア
この3分類の中に、それぞれオンラインメディアとオフラ インメディアがある。たとえば、①には、オンラインメディアとして、Yahoo!のようなプロバイダーが作成・運営する ポータルサイト等があり、オフラインメディアとして、放送局が作成・運営する地上波テレビ放送等があります。この3 分類のそれぞれのオンラインメディア、オフラインメディアをどう組み合わせていくかを考えることが、「今流」のメデ ィアミックスなのではないかと私は思っています。

―最後に、ひとつおききしたいのですが、これから「広告」 にはどんな変化が起きていくと思われますか?

世の中が<デジタル化>され<オンライン化>されていく ―この流れは止まりません。そのことによって起きる「広告的な変化」は、大きく2つ―<マーケットのグローバル化> と<情報の共有化>だと思います。この2つの変化に対応した広告のプランニングが重要になってくるのではないで しょうか。

―本日は、たいへん勉強になるお話をいただき、ありが とうございました。

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