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2009.July | vol.73

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不況に負けない「強い雑誌」の作り方。

株式会社角川マーケティング
『ザテレビジョン』編集部 編集長

藤田薫さん

未曾有の広告不況下、とりわけ紙メディアは苦戦を強いられており、ここ数年、老舗の雑誌の休刊、廃刊が相次いでいる。そんな中で、稀に、元気な雑誌がある。そのひとつが、創刊から27年という老舗雑誌『ザテレビジョン』。メディアのデジタル化にともない、ますますオフラインでは苦しいのではと想像されるテレビ情報コンテンツにおいて、発行部数も収支も大きく変わることなく続いている。その秘密は、どこにあるのか。『ザテレビジョン』の編集長、藤田薫さんに話をうかがってみました。

-テレビ番組ガイド誌が十数誌ある中で、『ザテレビジョン』ならではの特徴とは、どんな点でしょうか。

大きくは2つ、あると思います。1つは「自分の足でかせぐ編集」ということです。これは編集者にとって当たり前のことではあるのですが、テレビ番組情報誌の場合、つい放送局の広報がリリースする記事に甘んじてしまう傾向があります。私たちは、それをいたしません。記事は記者自身の足で取材し、記者自身の頭で咀嚼し、他人の受け売りではなく記者自身の評価や意見に着地させる。それを徹底してやり続けています。ですから、最もコンテンツにシビアなテレビ番組情報メディアである、という自負を私たちは持っています。このことと繋がっている話ではありますが、『ザテレビジョン』のもう1つの特徴は、「広告収入に依存しない」ということです。私たちにとっての収入は、あくまで読者に支払っていただく購入費が第一です。この考え方は、<角川イズム>といってもいいかもしれませんね。角川グループは、紙ものも映像ものも、広告収入には依存しない主義で作っています。これは、裏返して言えば、発行部数にシビアであるということです。

-通常、雑誌の収支は、販売収入と広告収入をおよそ半々でやっています。どちらも、景気に左右されやすいものだと思いますが、そのあたりはどう考えていますか。

景気が悪くなると、消費者も広告主も財布の紐をしめるわけですが、消費者は「いいもの」にはきちんとお金を払うと思うんです。だから、彼ら彼女らに認めてもらうものを作ることが、こういう時代にこそ重要なのではないでしょうか。読者や視聴者にとって良いものを作るというのは、コンテンツ作りの原点です。そういう意味で、今のような景気は、もう一度原点を見直す、いいきっかけになっていると言えるかもしれません。

-広告が減って収支がきつくなる。そこで広告主に媚びすぎた歪んだコンテンツ作りをすると、読者が離れ、ますます苦しくなる…ということでしょうか。

そうですね。少なくとも私たちは、読者をおき去りにした編集というのは考えたことがありません。常に読者利益を考え、読者に対して誠実に仕事をしてきました。私たちは、編集者としてごく当たり前のことを27年間続けてきただけですが、そのこと自体が価値なのかもしれませんね。だから、こうしてずっと No.1テレビ番組情報誌というポジションでやってこられたのだと思います。先輩たちにも感謝しなければいけませんね。

-では、これからも『ザテレビジョン』は発行部数にこだわる雑誌でありたいと。

部数といった「量」も重要ですが、もっと重要なのは「質」です。量も質もNo.1であるコンテンツが、本当の意味での「リーディング・コンテンツ」だと思います。このことは、テレビ番組もまったく同じで、今や、視聴「率」よりも視聴「質」が問われる時代になっていますよね。その「質」を読者に誠実に「レコメンデーション」するのが、本誌の使命です。

-読者にとって「良質なテレビ番組情報」って何でしょうか。

最近、面白い番組が減った、良質な番組が減ったということが言われたりしています。一方で、チャンネル数、番組数は今後ますます増えていきます。御社が提供するGガイドのように、番組情報サービスもどんどん増えていくでしょう。その中から、視聴者は、自分にとって本当に必要な情報やコンテンツを引き出していかなくてはなりません。これは、かなり難しいことです。いわば、みんなが「視聴のプロ」にならないといけないわけです。私たちは、この「視聴のプロ」をサポートするツールでありたいと考えています。と同時に、「視聴のプロ」の声を放送局に届ける視聴フィードバックのハブとしての役割も担っていきたいとも考えています。

-本日はお忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。

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