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Gプレスインタビュー

2011.January | vol.92

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アメリカの最先端事情から予測する、これからのテレビ。

株式会社電通
コミュニケーション・デザイン・センター
次世代コミュニケーション開発部

森 直樹 さん

モリ ナオキ
メーカーのマーケティング担当、調査会社、モバイルCPでの事業開発を経て、2009年 株式会社電通に入社。
主に、ソーシャルメディア・スマートデバイス・ARの領域でマーケティング&事業開発に従事。
JAA WEB広告研究会(モバイル委員会、消費者メディア委員会)所属。
執筆協力に『モバイルマーケティングブック 1・2(翔泳社) 』『WEB担当者の現場ノウハウ Vol11(インプレス)』など。

2011年、地上波テレビ放送のデジタル化、インターネットテレビの参入など、テレビにさまざまな変革の大波が押し寄せる。海の向こうではどんな波が起きており、それは日本にどんな影響を与えるのか。波をどう迎え、どう乗り越え、新たなチャンスを創出していくべきか。
新たな時代への不安と期待が交錯するなか、テレビ事情に精通した2人の電通社員のリポートをまとめました。
(2011年1月24日 電通ホールでの講演より)

―ラスベガスで開催されたCESを訪れて感じたこと

CESとはConsumer Electronics Show。全米家電協会(CEA)が主催し、毎年1月に開かれる家電・情報・通信等に関する世界最大規模の見本市です。取引専門で一般公開はされず、B to Bに特化したショーであるため、ここに行けば、世界の各家電メーカーが市場をどう捉えているか、そしてどんな商品を主力として展開していこうとしているのかがよく見えます。
今年は、「Smart一色」であった印象を受けました。スマートテレビ、タブレット端末等のスマートデバイスのケイパビリティ・プレゼンテーションが、各メーカーブースでしのぎを削っていました。

―「スマートテレビ」の衝撃

スマート端末の最大の「衝撃」は、今まで存在していたメディアやコンテンツの垣根を無くしてしまうことです。
たとえば、「テレビ」が「スマートテレビ」になることで、ブロードバンドに常時接続され、映像・音楽配信からストリーミングでコンテンツを受信・再生ができるようになります。リモコン操作はタッチスクリーンが基本になり、iPhoneやタブレット端末のように、アプリをダウンロードすることにより機能拡張が可能になります。ゲームや電子書籍等のコンテンツがすべて「テレビ」という端末で楽しめるようになります。また、FacebookやTwitter等のソーシャルメディアとも連携します。
―こうなると、これまで存在していた「様々な境界」が消えていくわけです。
端末という観点でいえば、テレビ、PC、タブレットの境界がなくなっていきます。コンテンツという観点でいえば、テレビ放送とインターネットやVODの境界がなくなっていきます。これは、いままでの「テレビ」にとって、相当に衝撃的な変化といえるでしょう。
CESの中で、最も人が集まっていたと思われるSamsungが興味深い未来を提示していました。彼らは、「いつでも、どこでも、全てのデバイスで全てのコンテンツを享受できる時代はすぐそこにあり、それはクラウドによって実現される」と主張していました。クラウドというテクノロジーを軸に、スマートデバイスによる新世界を構築する。このビジョンに、皆高い関心を抱いていました。

―ソーシャルメディアの、想像以上の席巻ぶり

今回アメリカを訪れて驚いたことの一つは、想像以上にFacebookが浸透していたことです。
私は、乗ったタクシーのドライバー全員(10人)に2つの質問をしてみました。「Facebookを利用しているか」と、「Twitterのアカウントを持っているか」。 驚くことに、10人中10人が「Facebookを利用している」と答え、10人中5人が「Twitterのアカウントを持っている」と答えました。たまたま、しかもn値はわずか10ですが、アメリカにおけるソーシャルメディアの席巻ぶりを目の当たりにした気がしました。
私が知る限りの最新データでは、アメリカの人口の約47%がFacebookユーザー、とありますが、感覚的にはもっと多いのではないかと感じています。
ソーシャルメディアは、アメリカでは既に、企業にとっても重要なコミュニケーションツールになっています。フォーチュン100企業のうち65社がTwitterアカウントを持ち、54社がFacebookでのファンページを開設しているというデータがあります。これほどにまで影響力をもったソーシャルメディアとどう連携していくかが、これから続々と登場する新しいデバイスの勝敗を大きく左右するでしょう。

―アメリカと比べて見えてくる日本の特殊性

スマートテレビの普及をはじめ、アメリカで起きていくことがそのまま日本でも起きていくかというと、一概にそうはいえないでしょう。様々な事情が違いますから。テレビ業界を比べてみても、日本は依然として広告放送市場の方が有料放送市場よりも大きいのに対して、アメリカは有料放送市場が広告放送市場の2倍の規模を持ちます。また、ソーシャルメディアの普及状況をみても、国民の47%がFacebookユーザーであるアメリカに対し、日本のFacebookの普及率はわずか1.5%(今はもっと増えていると思いますが)という状況。
しかし、日本もいずれ、テレビ放送とインターネットコンテンツが同列に選択される環境になるでしょうし、ソーシャルメディアとの連携も重要になってくることは確かです。そうなると、メーカーによる独自の囲い込みや、映像ではないコンテンツと画面表示時間を争うといった、新たな競争も生まれてくるでしょう。そんな時代を乗りこえていくためにも、もはや「日本は日本」というガラパゴス感覚は通用せず、海外で起きている事象に対して意識と考察のアンテナを常に立てておくべき時代であると考えています。

気になるテレビ語 groovy word on TV 『GIANT KILLING』


サッカーアジアカップ盛り上がりましたね。激戦に次ぐ激戦で、日本代表が見事に優勝を飾りました。セリエAの強豪クラブに移籍した長友選手など、アジアカップを経験した選手たちがJリーグや海外で活躍してくれそうで楽しみです。
さて、今回はそのサッカーに関するテレビ語「GIANT KILLING」(通称ジャイキリ)を紹介します。原作は2007年から連載されている漫画で、2010年にアニメ化され、現在はNHK教育テレビで毎週土曜日の18時25分から放映されています。
サッカー漫画といえば「キャプテン翼」や「シュート!」などを思い浮べますが、その作品のほとんどは、選手が主人公に設定されています。しかし、「GIANT KILLING」の主人公は、選手ではなく監督です。弱小チームを率いることになった主人公の監督が、格上のチームを倒していくというストーリーで、緻密に計算された戦術や、対戦監督との心理戦などが細かく描かれています。
気になる検索数ですが、278(11月)→339(12月)→302(1月)と伸び悩んでいます。サッカーを題材にした「イナズマイレブン」というアニメがテレビ東京で放映されており、検索数は3,330(1月)となっています。検索数で格上の「イナズマイレブン」に「GIANT KILLING」(=番狂わせ、大物喰い)できる日は来るのでしょうか。


『Gガイドモバイル』ユーザ検索ログデータより 集計期間:2011/1/1-1/31

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