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Gプレスインタビュー

2011.September | vol.99

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フェイスブックから見える新しいテレビ視聴体験の可能性。

Facebook
カントリーグロースマネジャー

児玉 太郎 さん

こだま・たろう
Yahoo!にてソーシャルメディア事業を担当後、Facebookに入社。2008年の日本法人設立時に、カントリーグロースマネジャーに就任、日本国内のFacebook利用を促進させる責任者として国内でのFacebook関連サービス拡大に向け尽力している。

現在世界中で8億人を超える人が利用するフェイスブック。ソーシャルメディアの代名詞として、現在、そしてこれからも、人間のコミュニケーション活動に絶大な影響を与えていくことは間違いない。一方で、マスメディアをはじめとする従来型のメディアは、フェイスブックのような急台頭するソーシャルメディアとどのように連携していくべきか、が問われはじめている。今回は、フェイスブックカントリーグロースマネジャー児玉太郎さんへフェイスブックが秘めている様々な可能性のなかでも、「テレビ視聴」にフォーカスしてお話を伺ってみました。

―ベーシックな質問ですが、児玉さんの定義する「ソーシャル・メディア」とは何ですか?

私は、「ソーシャルな力を使った、パーソナライズ・メディア」それが、ソーシャルメディアであると考えています。「ソーシャルな力」とは、「人と人との繋がりがつくる有機的な力」ということ。「パーソナライズ・メディア」というのは「それぞれの人に対して、一人一人の興味や関心に合った情報を発信するメディア」ということです。よく、マスメディアの対照としてソーシャルメディアという捉え方をされがちですが、私は、敢えて大きく捉えて言うならば、マスメディアであれ何であれ「人を介して伝わってくるもの」はすべてソーシャルメディアである、と思っています。

―つまり、その定義からすると、テレビもソーシャルメディアである、ということですか?

そうです。ソーシャルメディアか否かというのは、発信されるコンテンツの性質やそれを送受信するデバイスの問題ではなく、その情報を受け取るユーザー側の「体験の性質」の問題だと思うんです。たとえば、今、私がリビングでドラマを見ているとします。ここまでは、従来のマスメディア体験です。そのドラマに、決してメジャーではないが私の好きな俳優Aさんが、ふと登場したとします。私は、「おっ、Aさんが出てる!」となります。そして、それをフェイスブックの友達にすぐ教えてあげるとします。フェイスブックの友達は、私と趣味嗜好が似ている人たちが多いので、私と同じくAさんが好きな人たちである確率が高く、テレビをつけてそのドラマを見るかもしれません。こうなると、このときのテレビ視聴体験はソーシャルメディア的体験といえます。こういう視聴体験を、私は『Social TV experience』と呼んでいるのですが、こういった新しい視聴体験を作り出す方法は、今フェイスブックの中で活発に議論しているところでもあります。

―そうなると、マスメディアもソーシャルメディア、次第に垣根がなくなっていくということなのでしょうか?

いいえ、そうはならないと思います。そもそも、両者には「オリジナルコンテンツを持っているかいないか」という大きな違いがあります。マスメディアは、自分たちが作ったオリジナルコンテンツを発信します。ヤフーのような情報ポータルサイトでさえも、世の中にある情報を編集して発信するという意味ではオリジナルコンテンツを持つメディアといえます。それに対して、私たちは、オリジナルコンテンツを持ちません。編集もしません。編集するのはあくまでユーザー個人、私たちは、あくまで機能を提供するだけです。この両者の大きな違いは、これからも不変のものです。時々、フェイスブックの急速なユーザー数の増加に対して危機感を抱くマスメディアの方がいらっしゃいますが、今申し上げた意味からして、どこまでいっても、フェイスブックがマスメディアになりうることはないわけです。

―ソーシャルメディアとマスメディアとは共存の関係を築けるということですね。先ほどのドラマの例のように、「視聴のきっかけをフェイスブックがつくる」といったような。

そのとおりです。これは、私たちが意図的にしかけて実現するというものでもなく、世の中のユーザー行動の流れとして、必然的に起きてくると思います。そのときに、それをユーザーの行動をサポートしてあげる装置やツールを用意してあげることが、私たちの役目だと思ってます。

―装置やツールとは?

先ほどのドラマの例で言いますと、私が今見ているテレビのことを友達に教えたいと思ったときに、すぐに教えられる装置があるということです。今であれば、携帯電話がそこにあれば可能ですが、たとえば、テレビのリモコンにフェイスブックボタンがあれば、さらに機会は拡がるでしょう。それと、もう一つ大事なことは、「この番組、いいね!」となったときに、その番組の正確なタイトル、放送局、放映時間等の確かな情報に、テレビ画面だけでなく、パソコンや携帯端末などソーシャルメディアとつながるメディア上ですぐにアクセスできることです。その意味で、電子番組表との連携はとても重要になってくると考えています。装置やツールの開発は、私たち単独では実現できないものであり、各社との提携、連携なしには生まれないものですが、フェイスブックの正確な情報と信頼のあるレコメンドが流通している特性と組み合わさったら、とても面白いと思います。

―本日はお忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。

気になるテレビ語 groovy word on TV

『ZONE』


東日本大震災後、国内外問わず多くのミュージシャンによって、CDの売上げやチャリティーライブなどが開催され、義援金を寄付するという活動が行われています。その中には、復興支援のために、解散や活動休止中のバンドが、次々と再結成や再始動をするという動きも盛んになりました。そこで今回のテレビ語は、8月に再結成したガールズバンド『ZONE』を紹介します。このバンドは1998年に活動を開始し、何度かのメンバーチェンジを経て、2005年4月に日本武道館でのコンサートを最後に解散しました。その後、メンバーそれぞれソロ活動などを行っていましたが、震災を機にMAIKO(Vo&B)、MIYU(Vo&G)、TOMOKA(Vo&G&Key)のメンバーで「音楽を通して少しでも傷ついた方々の力になれれば」という思いのもとに再結成。『24時間テレビ』や音楽番組などの出演もあり、検索数は7,021にまで上がりました。2001年8月にリリースした『secret base~君がくれたもの~』の歌詞にある「10年後の8月 また出会えるのを 信じて」のフレーズに導かれるように、「10年後の8月」に再結成したZONE。この検索数はZONEだけでなく、多くのミュージシャンたちの曲や行動が、震災の傷を癒し、復興に向けて前進するための大きなパワーや勇気を与えていること、また、多くの人がそれを体感したという数字の表れではないかと思います。


『Gガイドモバイル』ユーザ検索ログデータより 集計期間:2011/8/1-8/31

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