• シェイク!Vol.11 マンガやアニメをつくる側の視点(2)<br>諏訪道彦(読売テレビ)×高山晃(ファンワークス代表取締役社長)×小沢高広(うめ) (漫画家)

シェイク!Vol.11 マンガやアニメをつくる側の視点(2)
諏訪道彦(読売テレビ)×高山晃(ファンワークス代表取締役社長)×小沢高広(うめ) (漫画家)

異なる業種で活躍する3人がそれぞれの視点で語り合い、新たな価値観を生み出すヒントを見つけるトークセッション「シェイク!」。
連載2回目は『シティーハンター』と『スティーブズ』の知られざる関係性についての話。

『シティーハンター』と『名探偵コナン』の画期的演出術

諏訪

ほう。『スティーブズ』は、『シティーハンター』の影響を受けているの?

小沢

エンディング曲「Get Wild」は、あの当時、かなり画期的な演出でしたよね。たとえば第1話のラストでは、主人公の冴羽獠が「あいつはおたくが手を汚すほどの値打ちもない。だから俺のような男がいるのさ」と女性に言い捨てて去っていく。そのセリフに合わせて、ちゃんちゃんちゃーんってイントロが流れてくる。あれに痺れたんですよねー。

諏訪

で、歌詞の頭からエンディングに入るっていう。

小沢

カッコいいですよねー。それに影響を受けまして。『スティーブズ』の第1話がそうです。漫画なので音楽はつかないんですが、実はあるページからエンディングがはじまってるんですよ。ストーリーにちょっとカッコいい言葉ーーうちではポエムと呼んでいますーーをかぶせていく。これ、ぼくのなかでは『シティーハンター』のエンディングです。

諏訪

それはうれしいですね。

小沢

『スティーブズ』の大きな特徴になっていて、最終回でもこの演出を使っています。ポエムと呼んでいますーーをかぶせていく。これ、ぼくのなかでは『シティーハンター』のエンディングです。

諏訪

ありがとうございます。実は、エンディングをTM NETWORKさんにお願いしたい、ということになったときに、いくつかお願いしたことがあったんです。古い話ばかりで恐縮ですが、『火曜サスペンス劇場』というのがありまして。岩崎宏美さんが彼女の代表曲「聖母たちのララバイ」を主題歌として歌っていて。

高山&小沢

なつかしい!

諏訪

サスペンス劇場では物語のラストにかぶせてイントロが流れて、ぱっとエンディング映像に切り替わる。あれをアニメでやろうと思いました。

小沢

ああー、それだったんだー!

諏訪

(シティーハンターの)エンディングは作画もいいですよね。シンプルで疾走感があって。曲があまりによかったので、(最終回の)51話までぜんぶ「Get Wild」になりました。終わりがいつもクールならはまるんですけど、香が100tハンマーで殴ったりするコミカルなシーンもけっこう多いんですよ。ここにあのイントロを流すのはいかがなものか、ダビングのときにいつも悩みました。使わなかったり、途中から使ったり、臨機応変に「Get Wild」を活かしました。この曲がいまここにきて盛り上がっていまして。

小沢

36曲ぜんぶ「Get Wild」というアルバムが出ましたね(笑)

諏訪

いまだに話題になるというのはありがたいですね。それから『名探偵コナン』は、今年、劇場版21作目『から紅の恋歌(ラブレター)』をやらせていただいて。

小沢

娘が見にいきました。

諏訪

(他に)見てくださった方、手を挙げていただけますか? (10人以上手が挙がる)。ありがたいですね。一昨年の興行収入が44.8億だったんです。だから50億狙いで昨年作ったら63.3億行っちゃって。シリーズ最高の成績となりました。まあ、20周年でがんばったし、赤井と安室っていうどこかで聞いたような名前のキャラクターが出てくるし(笑)。

高山

すばらしいですよね。声優が池田秀一さんと古谷徹さんっていう(笑)。

諏訪

原作者の青山剛昌先生が確信犯でキャスティングを希望をしてますから(笑)。でもまあ、今年はそれを超えるのは無理だろうと思っていたら、いま(興行収入が)66.5億まで行っています。自分たちでも何がよかったのか、はっきりとしたことは言えないですね。いくつか理由があると思ってはいますけど。

高山

アクションあり、トリックあり、恋愛あり、もうぜんぶ入ってますよね。

諏訪

去年がだいぶ尖っていたので、王道に戻そうとしたんです。原点回帰ということで、ラブコメミステリーに。青山先生は殺人ラブコメと呼んでますけれども。

高山

殺人ラブコメ(笑)。

諏訪

はっきり公言してますよ(笑)。だから今回も殺人ラブコメなんです。京都が舞台ということと、青山先生は『ちはやふる』が大好きだったので、じゃあ競技カルタで行こうと。それならどんなミステリにするか? という発想で作り始めました。恋の歌を、新一と蘭の関係性に重ねよう。平次と遠山和葉という大阪のキャラクターとも重ねてみよう。いろいろなことを重ねてストーリーを作り、さらに、推理作家の大倉崇裕さんを初めて脚本家に起用しました。興収成績を上げるために起用したというよりも、本当におもしろいものを作るために用意したのが、今回ちゃんと受け入れられたなあという印象です。この映画の成績にはちょっとびっくりしています。

高山

もう次のストーリーは考えてらっしゃるんですか?

諏訪

コナンの劇場版では、エンディングが流れたあとに次回作の予告をするのが恒例になっているんですね。今回ですと、日本列島が映されて、カウントダウンとともに高度を下げていって、最後にある人物が「ゼロ」と言う。それが誰かは、声を聞いたらすぐわかる。

高山

わかっちゃいますねえ(笑)。

諏訪

そうやって、来年は誰がメインになるのかな、と視聴者に想像してもらっています。

小沢

あの仕掛けって、もしかしたらマーベルより先にやってません? 『アベンジャーズ』シリーズも最後に引きを作ってるじゃないですか。

諏訪

ぼくは、アニメ版の『YAWARA!』のときも、最後に「バルセロナオリンピックまであと○○日」というカウントダウンのシーンを入れていました。なぜそれをやっているかというと、『サザエさん』の番組ラストのじゃんけんがほんとに悔しくて。あれ、みんな楽しみにしてるじゃないですか。じゃんけんって(コンテンツとして)強いですよね。

小沢

シンプルでね。

諏訪

それを越えようとして試行錯誤してきた結果、テレビ版のコナンでは、Next Conan’s HINTをやりました。次回のヒントを出した上で、声優さんが次の週に関係することを語るんですね。たとえば、高木刑事がコミカルにやりとりする。それで映画でも、Next Conan’s HINTのような次への繋ぎをやろうとしました。

次回 原作ファンによる炎上はなぜ起こるのか へつづく

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